公益財団法人
群馬県漁業増殖基金協会
のなりたち

群馬県漁業増殖基金協会は利根川河口堰、利根大堰(利根導水路利根川取水施設)の建設に伴う漁業補償金を主な原資として設立されました。

利根川河口堰は農業を塩害から守り、首都圏の生活用水・工業用水の慢性的な不足を解消するため、また、利根大堰は利根導水路事業の一環として首都圏の水需要の急激な増加と東京オリンピックに対応するため、何れも昭和30年代に計画されました。

これら水資源開発計画の実施推進による両堰の建設は、利根川の遡河性魚類の遡上、降下を阻害し大きな漁業損失を生じさせることとなり、水資源開発公団から関係漁業協同組合に対し漁業補償が行われました。
漁業補償の対象水域は、この時期併行して行われていた下久保ダム建設に伴う漁業補償の対象水域である神流川筋を除く県下全ての水域に及びました。

漁業補償を受けた各漁業協同組合は、補償金の有効利用を図り利根川水域の水産資源維持発展のためこの補償金を各漁業協同組合に分配をしないで、広く県下全水域を総合的に漁場価値を判断し、魚類種苗の好漁場重点放流等を念頭に漁場の高度利用開発を図り、利根川水系の漁獲の増大と漁業者の福利増進に寄与することを目的として、この補償金と一部県費を加えたものを基本財産とする群馬県漁業増殖基金協会が誕生しました。
その後、神流川筋3漁協からの寄附、県から基本財産への出捐、果実の基本財産繰り入れ等が行われ、一層の充実が図られました。

設立までの経緯

漁業補償交渉に先立ち、群馬県内の補償対象漁協は、円滑な交渉と基金協会設立への協議の場として自らを構成員とする群馬県利根大堰・利根河口堰漁業被害対策協議会を組織しました。

期 日 事 項 記  録
昭和42年 4月 1日 群馬県利根大堰・利根河口堰漁業被害対策協議会創立 構成漁協
・利根漁協・阪東漁協・群馬漁協・吾妻漁協・上州漁協
・烏川漁協・東毛漁協・両毛漁協・邑楽漁協
・近藤沼漁協・日向漁協・城沼漁協
昭和42年11月30日 利根大堰にかかる漁業補償妥結 群馬県利根取水施設建設水産対策委員会会長群馬県漁業協同組合連合会長と水資源開発公団利根導水路建設局長との間で漁業補償契約を締結する。
昭和43月 5月23日 利根川河口堰にかかる漁業補償妥結 利根川河口堰漁業対策協議会(栃木県漁連・群馬県魚連・埼玉県漁連で構成)と水資源開発公団との間で漁業補償に関する覚書が取交わされる。
昭和44月 9月10日 群馬県漁業増殖基金設立準備委員会設立 漁連正副会長・漁協組合長・県関係者22名により構成された準備委員会が発足する。
昭和45月 3月31日 群馬県漁業増殖基金設立許可 神田坤六群馬県知事から民法34条の規定により設立を許可される。
平成24年3月22日 公益財団法人群馬県漁業増殖基金認定書の交付 大澤正明群馬県知事から一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律第44条による認定書の交付。

・・・設立趣意書と事業・・・

設立趣意書
群馬県は内水面県で、共同漁業は利根川一筋に依存しているが、国の水資源開発計画の実施推進によって利根川河口堰及び利根大堰が設置され、遡河性魚族の遡上、降下阻害により重大な影響を受けることとなり、漁業補償が行われた。
昨今、漁場環境は公害による水質汚濁や多目的ダム建設による河川遮断等で悪化しているが、一面釣り人口は年々増加し、精神衛生面からの社会的要請は今後ますます高まることが予想される。
漁業補償の対象水域は県下の殆どの水域に及び、かつ補償の趣旨が公共事業実施前の状態に復元するための資源の補殖に必要な経費に充てることとしていることに鑑み、これを配分しないで広く県下全水域を総合的に価値判断し、好漁場重点投資による高度利用開発を図り、入漁制度の改善と相俟って公共の福祉増進に寄与することが必要であり、ここに河口堰及び利根大堰に係る漁業補償金を基金として財団法人群馬県漁業増殖基金協会を設立しようとするものである。

事  業
(1)水産増殖事業及びその助成
(2)水産増殖に必要な施設の設置及びその助成
(3)漁場開発保全に必要な施設の設置及びその助成
(4)その他水産業の振興に必要な事業

トップページへ